
始期日が2025年1月1日以降の契約について、自家用軽四輪乗用車の型式別料率クラスが現行の3クラスから7クラスに拡大されます。軽自動車が広く普及したことによりユーザー層が多様化したことや、衝突被害軽減ブレーキの搭載など自動車ごとの安全性能の多様化が進んだことで、型式ごとにリスク実態に差がみられるようになったためです。
型式別料率クラスについてと2025年以降の変更点について解説します。
型式別料率クラスとは
型式別料率クラスとは、自動車保険において車の型式ごとのリスクを1、2、3などのクラス別に設定したものです。世間に広く普及している自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車に導入されています。
「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」「車両保険」の4つの項目があり、それぞれの項目において事故実績から1~17(自家用普通乗用車、自家用小型乗用車)、あるいは1~3(自家用軽四輪乗用車)の料率クラスが設定されています。料率クラスの数字が大きいほどリスクが高いことを表し、リスクが高い車ほど保険料が高くなっています。
トヨタ プリウス(MXWH60) | ニッサン ノート(E13) | |
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対人賠償責任保険 | 7 | 6 |
対物賠償責任保険 | 7 | 10 |
人身傷害保険 | 9 | 8 |
車両保険 | 10 | 11 |
ホンダ N-BOX(JF3) | スズキ MRワゴン(MF33S) | |
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対人賠償責任保険 | 1 | 2 |
対物賠償責任保険 | 1 | 2 |
人身傷害保険 | 1 | 1 |
車両保険 | 2 | 2 |
※料率クラスは損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索より
型式別料率クラスは直近の保険データに基づく事故実績から毎年見直されています。事故実績がクラスが示すリスクよりも大きければクラスが上がり、逆に小さければクラスが下がります。自分が事故を起こしていなくても、同じ型式の車に乗っている他の人が多く事故を起こした場合、クラスが上がって保険料も高くなってしまうこともあります。
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自動車保険の型式別料率クラスとは何?
自動車保険の保険料は一般に保険金の支払の可能性が高いほど高くなります。数多くの自動車の中で保険金の支払実績が多い自動車と少ない自動車というものが存在してきます。そこに保険料の差をつけるのが型式別料率ク ...
自家用軽四輪乗用車の料率クラスが7クラスに
自家用軽四輪乗用車の型式別料率クラスは、現行で3クラスですが、2025年1月1日以降の契約について7クラスに拡大されます。
自家用軽四輪乗用車の普及に伴ってユーザー層が多様化していること、衝突被害軽減ブレーキなどにより自動車ごとの安全性能が多様化していることなどによって、現行のクラス1の中でよりリスクが低い型式が、現行のクラス3の中でよりリスクが高い型式が一定台数存在しているためです。
このため、クラス1よりもリスクの低い(保険料の安い)クラスを2つ、クラス3よりもリスクの高い(保険料の高い)クラスを2つ追加して、保険料負担の公平化が図られます。現行のクラス1~3は改定後のクラス3~5と同じ保険料です。

※損害保険料率算出機構の公表資料より作成
クラス間の保険料率の較差は変わらず√1.2倍(約1.1倍)です。そのため、現行の最大と最小の較差は1.2倍でしたが、改定後の最大と最小の較差は約1.7倍に拡大します。
クラスの移動について
改定後も現行と変わらず、リスク実態と適用しているクラスが見合っているか確認して見直す「クラス見直し」が毎年1月に行われます。リスクが低ければクラスが下がり、高ければクラスが上がります。
2025年1月の改定時には、リスク実態が適用しているクラスと見合っている場合は、上の図のようにクラス1~3はそれぞれクラス3~5となります。見た目のクラスの数字が上がることになりますが、保険料としては変わりません。リスクとクラスが見合っていない場合には、リスクに応じてクラスが移動します。
型式別料率クラスの変更例
損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索より、いくつかの軽自動車について2024年と2025年それぞれの型式別料率クラスを紹介します。
ホンダ N-BOX (JF3) | ニッサン デイズ (B21W) | スズキ ワゴンR (MH23S) | ダイハツ ミラ (LA300S) | |||||
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2024年 | 2025年 | 2024年 | 2025年 | 2024年 | 2025年 | 2024年 | 2025年 | |
対人賠償 責任保険 | 1 | 3 | 1 | 3 | 2 | 4 | 3 | 7 |
対物賠償 責任保険 | 1 | 2 | 2 | 4 | 3 | 5 | 3 | 5 |
人身傷害 保険 | 1 | 2 | 1 | 1 | 2 | 6 | 3 | 6 |
車両保険 | 2 | 4 | 3 | 5 | 2 | 4 | 2 | 4 |
各車(正確には各型式)で項目ごとに料率クラスがリスクに応じて変更されています。2025年の型式別料率クラスが2024年と比べて+2されている場合は実質的には変更なしです。+3以上の場合はリスクが高いと判断され、+1以下の場合はリスクが低いと判断されています。
なお、2025年1月以降始期の契約は型式別料率クラス以外の要因(修理費の上昇など)で全体的に値上げ傾向なので、型式別料率クラスが下がっていても保険料が高くなる可能性があります。
保険料が高くなったら自動車保険を見直そう
2025年1月以降の契約分から型式別料率クラスの変動やその他の保険料改定の影響で保険料が値上がりとなる可能性があります。自動車保険の更新のお知らせが来て保険料が高いと感じたら、自動車保険を見直してみましょう。
保険会社によって保険料は異なり、走行距離や等級、年齢など様々な条件の違いで最も安い保険会社は変わってきます。補償内容が同じでもA社よりB社の保険料が安くなることも珍しくありません。様々な保険会社を比べることで、安い自動車保険を見つけることができるのです。
しかし、1社ずつ見積もりを取って保険料を調べるのは大変です。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用してみましょう。一度の情報入力で複数社の自動車保険の見積もりを取ることができるので、1社ずつ見積もりをする時間を節約できます。また、自分では思いつかなかったような会社の見積もりもとることができるかもしれません。
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まとめ
自家用軽四輪乗用車の型式別料率クラスについて、2025年1月1日以降始期の契約で現行の3クラスから7クラスに拡大されます。現行のクラス1の下に2つ、現行のクラス3の上に2つのクラスが新設されるので、現行のクラス1~3はそれぞれ改定後のクラス3~5と等しくなります。
クラス間の保険料較差は変わらず√1.2倍です。現行の制度だと3クラスなので最小と最大のクラスの保険料較差は1.2倍ですが、改定後は7クラスとなるので、最小と最大のクラスの保険料較差は約1.7倍に拡大することになります。
同じ型式の車を運転する他の運転者の運転の仕方にも左右される内容ではありますが、他の運転者に恨まれないように、また、自身の等級を含めた保険料のためにも安全運転に気を付けるようにしましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。