高齢ドライバーによる交通事故のニュースを見聞きし、自分が事故を起こす前に運転免許証の返納を検討しているという人もいるのではないでしょうか。免許証を返納したら自動車を運転できなくなるので自動車保険も不要になります。この場合、実は自動車保険をそのまま解約してしまうと損をする可能性があります。
家族への等級の引き継ぎを考えよう
免許返納して自動車保険が不要になったとしてもそのまま解約してしまうのではなく、家族へと等級の引き継ぎができないか検討してみましょう。自動車保険の等級は配偶者や同居親族に引き継ぐことが可能です。等級が高いほど保険料の割引率も高くなるので、配偶者や同居親族が車を運転するのであれば無事故で進んだ高い等級をプレゼントしてあげましょう。
特に孫が免許を取って車を買うタイミングであれば、自動車保険の保険料節約効果が高いです。10代や20代は事故率が高いので保険料が高く設定されています。また、年齢条件を厳しくしたりゴールド免許割引を適用したりすることもできず、保険料を安くすることも難しいです。そこで有効なのが等級の引継ぎです。無事故で進んだ高い等級を孫に引き継げば、6等級ではなく割引率が高い等級を適用できますので保険料を安くすることができるのです。例えば、新規契約の6等級の割増引率は+3%の割増なのに対し、事故なし20等級の割引率は-63%にもなります。孫のためにも等級の引き継ぎができないか確認してみましょう。
等級 | 割増引率 |
---|---|
6S等級 | 3%割増 |
7S等級 (セカンドカー割引) | 38%割引 |
20等級(無事故) | 63%割引 |
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別居親族へは引き継げないので要注意
等級の引き継ぎができるのは、配偶者か自分もしくは配偶者の同居の親族です。親族に当てはまるのは6親等以内の血族と3親等以内の姻族です。
注意が必要なのが、「同居」の親族なので別居している親族には等級を引き継げないということです。大学進学や就職、結婚などを機に独立して一緒に住んでいないという場合には等級を引き継ぐことができません。家を出る予定が決まっている場合は同居しているうちに等級を引き継ぐようにしましょう。
タイミングが合わない場合は中断しておこう
免許返納のタイミングでちょうど等級を引き継ぐ相手がいるのであればよいのですが、そうでない場合がほとんどでしょう。等級の引き継ぎのタイミングが合わないという場合は自動車保険を中断しましょう。中断をすれば、保険料を払うことなく10年間等級を保存できます。
10年以内であれば同居の親族が新たに車に乗るようになった場合などに、中断時の等級を引き継いで高い等級で契約を開始することができます。等級を引き継ぐ方は中断した保険会社以外の会社で契約することも可能です。免許返納のタイミングで等級を引き継ぐ相手がいないという場合でも10年以内に状況が変わることもありますので中断証明書の発行をしておくとよいでしょう。
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すでに解約してしまった場合は?
もうすでに自動車保険を解約してしまっているという方も安心してください。解約日から13カ月以内(契約している保険会社によっては5年以内)であれば中断証明書の発行を依頼することができます。等級を引き継ぐために中断にしたいという場合は契約していた保険会社にご確認ください。
まとめ
運転免許証を返納したあと、自動車保険はそのまま解約してしまうのではなく家族に等級を引き継げないか確認してみましょう。特に、孫が免許を取って車を買うタイミングなどでは高い等級を引き継ぐことによる保険料の割引の効果が高いです。タイミングが合わないという場合は、中断証明書を発行しておけば10年間は等級を保存することができます。中断証明書は取得した保険会社以外でも使うことができます。等級の引き継ぎを受ける方は自動車保険一括見積もりサービスなどを利用してより条件の良い保険会社を探してみてはいかがでしょうか。
自動車保険を安くするには一括見積もりがおすすめ!
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。