日本では台風や局地的な豪雨、地震、大雪など様々な自然災害が発生します。こうした自然災害で車が被害を受けたとき、車両保険で補償は受けられるのでしょうか。各自然災害での補償の有無についてそれぞれ紹介します。
もくじ
車両保険が使える自然災害
車両保険を使うことができる自然災害による損害を紹介します。以下のような自然災害では車両保険を使って補償を受けることができます。
- 台風や大雨、ゲリラ豪雨による冠水で車が水没した
- 台風による高潮で水没した、車が流された
- 台風や大雨、ゲリラ豪雨による土砂崩れに巻き込まれた
- 台風等の強風で飛んできた瓦が車に当たった
- 車に雷が落ちた
- 車に雹(ひょう)や霰(あられ)が落ちた
- 竜巻で車が飛ばされた、飛んできた瓦が当たった
- 積もった雪の重みで車の屋根がへこんだ
- 雪でつぶれたカーポートの下敷きになった
- 雪崩に巻き込まれた
水害での自動車の水没は自動車保険が使える?
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台風による損害は自動車保険で補償される?
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エコノミー型でも補償を受けられる?
車両保険では補償範囲が広い一般型のものと補償範囲が狭い代わりに保険料も安いエコノミー型のものがあります(名称は保険会社によって異なります)。上で紹介したような自然災害による損害の場合、エコノミー型でも補償を受けることができます。
ただし、道路に積もった雪でスリップして他の物に衝突したというような場合、衝突した相手が他人の車であればエコノミー型でも補償を受けられますが、ガードレールや電柱など車以外のものに衝突した場合は単独事故扱いなので一般型でないと補償を受けられません。
車両保険を使ったら等級はどうなる?
自然災害による損害で車両保険を使用した場合、翌年度は1等級ダウンし、事故有係数適用期間が1年加算されます。積もった雪でスリップしたという場合や相手方への賠償で自動車保険を使ったという場合には、翌年度は3等級ダウンし、事故有係数適用期間も3年加算されます。
車両保険が使えない自然災害
車両保険を使えない自然災害も存在します。それは、以下のような地震・噴火、これらによる津波による損害です。
- 地震による建物や塀などの倒壊に巻き込まれた
- 地震による地割れに巻き込まれた
- 噴火による噴石や火山灰で車に損害を受けた
- 噴火による火砕流に巻き込まれた
- 地震・噴火による津波で車が流された
- 地震・噴火による津波で車が水没した
地震・噴火・津波による損害は一度に極めて大きな損害を発生させる可能性があり、適切な保険料の設定が困難であるため、通常の車両保険の枠組みでは補償を受けることができません。
また、東日本大震災のように原子力発電所の事故に発展した場合についても車両保険では補償を受けられません。各社とも核燃料物質または核燃料物質に汚染された物に起因する事故を原因とする損害、および放射線照射・放射能汚染を原因とする損害は保険金の支払の対象外としているからです。
地震・噴火・津波は全損時に特約で補償される場合も
一部の保険会社では地震・噴火・津波によって車が全損した場合に一時金の支給を受けられる特約をつけることができます。この特約を付帯することで、地震・噴火・津波で車が全損となった場合でも少しは損害をカバーすることができます。
この特約の注意点としては、全損時にしか一時金が支給されないこと、一時金レベルの金額(最大50万円)しか支給されないこと、一般型の車両保険にしか付帯できないこと、放射能汚染などは対象外であることが挙げられます。また、全損の定義も通常の車両保険とは異なり、約款に別途基準が記されています。
いくつか注意事項もありますが、地震・噴火・津波への備えが欲しい場合はこの特約の付帯も検討しましょう。
免責金額(自己負担額)を設定している場合
車両保険で免責金額の設定をしている場合、保険料は安くなりますが設定した金額分の修理代金は自己負担する必要があります。仮に、免責金額が5万円で50万円の修理代がかかった場合、車両保険で支払われる保険金は45万円となります。ただし、全損となった場合は免責金額の設定にかかわらず車両保険の保険金額の全額が支払われます。免責金額を設定する場合は、万が一の時の自己負担額と保険料の節約額とのバランスを考えて設定するようにしましょう。
自動車保険の「全損」とは?車両保険ではいくら受け取れる?
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まとめ
車が自然災害の被害を受けた場合、受けた自然災害の種類によって車両保険を使える場合と使えない場合があります。基本的に、地震・噴火・津波による損害では車両保険は使えず、その他の風災や水災、雪災などでは車両保険を使うことができます。保険会社によっては一般型の車両保険に地震・噴火・津波で全損した場合に一時金の支給を受けられる特約を付帯できるところもあります。地震・噴火・津波への備えもしておきたいという場合は、保険料の値上がりも考慮しつつこの特約を付帯できる保険会社を中心として検討するとよいでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。