新車をカーディーラーで購入するのは、一般的に大きな買い物です。できる限り新車を安く購入するために、値引き交渉を行う人も多いのではないでしょうか。その際にはいくつかのポイントを押さえて、上手に交渉する必要があります。
また、効果的な値引き交渉を行うため、適したタイミングがあることも把握しておきたいところです。
この記事では、新車の値引き交渉のポイントと値引き金額の相場のほか、値引き交渉に適したタイミングについて解説します。
もくじ
新車の値引き交渉をする際の主なポイント
カーディーラーで新車の値引き交渉を成功させるには、どのように行えばいいのでしょうか。ここでは、新車の値引き交渉のポイントについて解説します。
予算と希望値引き額を伝える
新車の値引き交渉時には、あらかじめ自分の予算と希望する値引き額を明確に伝えることが重要です。多少無理な金額でも、具体的な希望値引き額を伝えることで、カーディーラーの担当者も値引きの可否を判断しやすくなります。
例えば、「280万円の予算内で新車購入を考えています」と具体的な金額を伝えると、営業担当者も商談のゴールを設定しやすくなり、上司にも掛け合いやすくなります。
ただし、高すぎる要求だと、まったく応じてもらえなかったり、冷やかしだと見なされたりすることもあるため、車の大まかな相場を把握し、現実的な金額を提示するよう事前に準備しておきたいところです。
ディーラーオプションで実質値引きしてもらう
新車の車両本体価格の値引きが難しい場合は、「ディーラーオプション」のサービスを受け、実質的に値引きしてもらう方法もあります。 ディーラーオプションとは、カーディーラーが自社で販売・装着するオプション装備のことで、フロアマットやETC車載器などがあります。ディーラーオプションはカーディーラーの裁量で判断できる部分なので、それを交渉の対象として狙うのです。
納車のタイミングでフロアマットやETC車載器などのディーラーオプションを無料でつけてもらったり、ボディコーティングなどの料金を割引してもらったりすれば、結果的に支払総額を抑えることにつながるでしょう。
なお、車の生産時に取り付けられるオプション装備は、メーカーオプションといいます。
同一車種を持つ別系列のカーディーラーに見積もりを出してもらう
同じ自動車メーカーの同一車種を扱っていても、経営母体の会社が異なれば、値引き額が変わる場合があります。そのため、購入を検討している車種を持つ別系列のカーディーラーを、いくつか回りましょう。各カーディーラーで見積もりを出してもらい、それを材料にして値引き交渉を行うのがポイントです。カーディーラー間の競争原理を利用すれば、値引きしやすくなります。
例えば、「◯◯店では15万円引きの見積もりで285万円だったのですが、こちらのお店ではもう少し値引きできませんか?」と持ちかけることで、営業担当者がほかのカーディーラーにお客を取られないようにしようと、値引きに応じてくれる可能性があるのです。
友人・知人に紹介してもらったカーディーラーで交渉する
過去に車を購入した知人・友人に紹介されたカーディーラーで交渉することも、大幅な値引きを引き出す有効な手段といえるでしょう。既存ユーザーの紹介による見込み顧客は、営業担当者にとって既存ユーザーとの付き合いもあるため、おろそかにはできない存在だからです。
また、営業担当者から見れば、既存ユーザーからの紹介は、まったくの新規顧客よりも信頼しやすい面もあります。そのため、値引きやサービスを検討してくれる可能性が高くなるのです。
営業担当者との信頼関係を築く
カーディーラーの営業担当者と信頼関係を築くことも、値引き交渉において効果的に作用する場合があります。これは、カーディーラーは「一顧客一担当制」で対応するのが一般的だからです。質問や相談などのコミュニケーションを通じて良好な信頼関係を築くことで、営業担当者は「末永く顧客になってくれるかも」という期待を抱きます。
値引き交渉においては、担当顧客がまだ少ない若手の営業担当者に声をかけるのがポイントです。
例えば、「長く乗り続けたいと考えているので、アフターサービスも含めて良い条件を出してもらえませんか?」と相談すると、若手の営業担当者は親身になって対応してくれるでしょう。
購入後のメンテナンスや車の買い替え時にも、良い対応をしてもらえる可能性が高くなります。
カーディーラーのセール実施時期を狙う
新車の値引き交渉を成功させるには、カーディーラーのセール時期を狙うのがポイントです。カーディーラーのセールは、決算期や中間決算期のほか、ボーナスの時期などに行われます。また、初売りセール(1月)を開催するカーディーラーもあるでしょう。
これらのセール時期は販売目標達成のため、値引き幅が大きくなる傾向があります。
新車の値引きの相場
新車の値引き額の相場は、一般的に車両本体価格の数%~10%程度です。しかし、メーカーや車種によって、値引き額の幅は大きく異なります。
例えば、人気の高い新型車やオーダー待ちが続いている車は、値引きは難しくなる傾向があるでしょう。また、もともとの販売価格が低い車は販売店側の利益も限られるため値引きが少なくなる傾向にあります。一方で、モデルチェンジが近い車や、販売台数が伸び悩んでいる車は、値引き額が大きくなります。購入予定の新車の発売時期や人気の有無を事前に調査し、目安を大まかに把握するようにしてください。
ただ近年は、半導体など構成部品の不足から新車供給自体が滞ることが多くなり、以前よりも新車を値引きしなくても売れる状況が生まれつつある点には注意が必要です。
新車の値引き交渉に適したタイミングは?
カーディーラーから大幅な値引き額を引き出しやすいタイミングを知ることも、値引き交渉成功のポイントです。ここでは、新車の値引き交渉に適したタイミングについて解説します。
カーディーラーの決算期
カーディーラーは年間の販売目標を達成するため、3月の決算期や9月の中間決算期に、普段よりも値引き交渉に応じる傾向があります。
特に3月の年度末決算のタイミングは、大幅な値引きを期待できる可能性が高いといえるでしょう。
ボーナスの支給時期
一般的にボーナス(賞与)が支給される6月や12月のタイミングは、新車購入の需要が高くなります。そのため、カーディーラーでもセールが実施されることが多い傾向があります。
車のモデルチェンジ前
車は5~7年程度で、商品力向上のためにモデルチェンジが実施されます。また、2~4年ごとに、一部を改良したマイナーチェンジが行われることも珍しくありません。
この際、新型の発表が近づくと、カーディーラーは現行モデルの在庫を処分する必要があり、値引き額が大きくなる傾向があります。新型の購入にこだわらないのであれば、このモデルチェンジ・マイナーチェンジのタイミングを狙うのもおすすめです。
値引き交渉以外で支払総額を安くする方法
新車を購入する場合、値引き交渉以外にも支払総額を安くする方法があり、この方法についても把握しておきたいところです。ここでは、値引き交渉以外で新車の支払総額を安くする方法について解説します。
金融機関のマイカーローンを利用する
新車購入は大金が必要となるため、自動車ローンを利用することが多いでしょう。この際に、金融機関の「マイカーローン」を利用することで、支払総額を安くできる可能性があります。
これは、カーディーラーが提携する信販会社の「ディーラーローン」は、金利が3~7%台と高めに設定されている傾向があるからです。一方で、銀行や信用金庫などの金融機関が提供するマイカーローンは、金利が1~2%台と比較的低めになっています。
ただ、マイカーローンは審査が厳しかったり、審査に日数がかかったりする傾向があるので注意が必要です。
マイカーローンの詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
-
マイカーローンの審査基準とは?審査に落ちる理由と対策について解説
マイカーローンの審査基準は原則非公開ですが、審査で重視されるポイントは金融機関やローン会社で概ね共通しています。では、どのような点に注意すればローン審査に通過するのでしょうか。もし落ちてしまうか不安な ...
ダイレクト型自動車保険を選ぶ
新車を購入する際、代理店を兼ねているカーディーラーで自動車保険に加入するのではなく、ダイレクト型自動車保険に加入すれば保険料を節約でき、結果として車の支払総額や維持費を抑えることが可能となります。
ダイレクト型自動車保険は、保険会社と電話やインターネットを介して直接契約するため、中間マージンが削減され、保険料が安くなるメリットがあります。場合によっては、代理店型自動車保険と比較して、年間で数万円単位の差が出ることもあるのです。
新車の購入時には、複数の保険会社の見積もりを取った上で、ライフスタイルに合った最適な自動車保険を選ぶようにしましょう。
ダイレクト型自動車保険の詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
-
自動車保険、代理店型とダイレクト型(通販型)の違いは?
自動車保険には大きく分けて「代理店型」と「ダイレクト型」(通販型やネット型などとも呼ばれる)の2つの対応があります。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?自動車保険の主な項目について、代理店型 ...
ディーラーで保険の契約の代わりに車の値引きは法律違反
カーディーラーで自動車保険を契約することで代わりに車の値引きをしてもらえないかと考えるかもしれませんが、これは保険業法に反することになってしまうのでできません。
保険業法第三百条で、保険契約の締結等に関する禁止行為が定められていますが、その中に「保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為」が含まれています。保険契約の代わりに車の値引きは「特別の利益の提供」に該当するため、この条項に反することになってしまいます。
「任意保険も入るから〇円安くしてほしい」などと持ちかけても応じることはできないので注意しましょう。
下取り車を買取専門店の見積もりと比較して、高く買ってもらう
新車購入の際に車を下取りに出す場合、買取専門店の見積もり価格と比較して高く購入してもらえば、結果として支払総額を抑えることにつながります。
カーディーラーでの下取り価格は決して高くはなく、むしろ買取専門店を利用したほうが高値で買い取ってもらえる傾向があります。そこで、買取専門店の見積もり査定を複数依頼し、その見積もりをもとにカーディーラーに交渉することで、高く下取りしてもらえる可能性があるのです。
そのため、事前に複数の見積もりを買取専門店から取得し、下取り車が高く売れるように準備しておくといいでしょう。
値引き交渉をするときの注意点
値引き交渉をする際には、いくつか気をつけたいことがあります。ここでは、値引き交渉をする際の注意点を解説します。
ほとんど値引きされない車種・メーカーもある
値引き交渉は、すべての車で行えるわけではありません。新型モデルや人気車種は値引き幅が少なく、交渉しても車両本体価格がほとんど下がらない場合があるので注意が必要です。また、ブランド価値を重視し、値引きをほぼ行わないメーカーも存在します。
そのため、値引きが期待できない車種を購入する場合は、ディーラーオプションをサービスしてもらったり、下取り価格をアップしてもらえたりするように交渉してください。
高圧的な態度で交渉しない
値引き交渉をする際、営業担当者に対して高圧的な態度をとると、好条件を引き出しにくくなるので注意してください。カーディーラーの営業担当者も人間であり、販売後も付き合いが発生することも考えると、良好な信頼関係を築ける人と長く付き合いたいと考えるからです。営業担当者とは信頼関係を築きながら、粘り強く交渉することが成功のカギをにぎります。
高圧的な態度をとったり理不尽な要求をしたりした場合は「カスタマーハラスメント」と見なされ、今後の対応を断られる可能性もあるので注意しましょう。
新車購入時には自動車保険もよく調べよう
新車を購入する場合には、知人・友人の紹介を受けたり、決算期など適切なタイミングを狙ったりすることで、効果的な値引き交渉が可能です。また、ディーラーローンではなく、金融機関のマイカーローンを利用したり、自動車保険をダイレクト型自動車保険に見直したりすることで、支払総額を抑えられる可能性があります。
なお、ダイレクト型自動車保険の保険料や補償内容は、保険会社によって異なります。自身に合った自動車保険を探すには、複数の保険会社に確認する必要があるため、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼しましょう。
自動車保険の保険料を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりが一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。
ぜひ、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」をお試しください。