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車両保険がいらないと言われる理由は?必要となるケースは?

投稿日:2020年8月11日 更新日:

自動車保険には様々な補償が含まれていますが、その中でも自分の車に対する補償が車両保険です。車両保険をつけると保険料が大きく上がることもあり、「車両保険はいらない、無駄だ」という意見を聞くこともありますが、その一方で「車両保険には入っておいた方がよい」という意見もあります。車両保険が必要となるケースはどのようなときなのでしょうか。

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車両保険で補償される内容

車両保険についての知識がないと「必要」とも「不要」とも判断できないので、まずは車両保険がどのような保険なのか確認しておきます。

車両保険は契約している車の修理費用などを補償する保険です。契約時や更新時に車の時価相当額をもとに設定した車両保険金額を上限として、車同士の事故で契約車両が壊れた場合の修理費のほか、盗難やいたずら・落書きの被害に遭った、飛び石でガラスにひびが入ったというときなどの修理費や再購入費用の補償を受けられます。

交通事故だけでなく、洪水で車が水没してしまった、雹(ひょう)で車がへこんだなどの車が自然災害の被害にあったときも車両保険の補償対象となります(地震・噴火・津波による被害は除く)。

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車両保険の2つのタイプ

車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2つのタイプが用意されていることが多いです。「エコノミー型」は「一般型」よりも補償範囲が狭い代わりに保険料が安くなるのが特徴です。具体的には、「エコノミー型」はガードレールにこすってしまったというような単独事故、自転車との衝突で傷がついたというような場合には補償されません。

+ 「一般型」と「エコノミー型」の比較

一般エコノミー
車やバイクとの事故
(相手が判明している場合)
自転車との衝突・接触×
電柱・建物などとの衝突や接触
(単独事故)
×
あて逃げ
転覆・墜落×
火災・爆発・台風・洪水・高潮など
盗難・いたずら・落書き
窓ガラスの損害・飛び石による損害
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火××

※あて逃げについて、保険会社によってエコノミー型でも補償対象となる場合とならない場合とに分かれています。

「一般型」、「エコノミー型」という名称は保険会社によって異なります。また、詳細な補償内容についても保険会社によって異なる場合があります。詳しくは保険会社または代理店にお確かめください。

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車両保険が「いらない」と言われることがある理由

車両保険はいらない、つけるのは無駄だと言われることもあります。どのような理由からそういわれているのか紹介します。

保険料が高くなる

車両保険の有無で保険料があまり変わらないのであれば「いらない」とはそれほど言われないでしょうが、車両保険をつけると保険料が大きく上がってしまいます。

どれくらい高くなるかの例として、当サイト「インズウェブ」の自動車保険一括見積もりサービスでお見積もりを取得された方の保険料を調査した結果を紹介します。等級や年齢条件、運転者限定、車種、使用目的などによって保険料は変わります。以下はあくまでも参考データとして実際の保険料は見積もりを取って確かめてください。

記名被保険者の始期日年齢車両保険なし車両保険(一般)
18歳~20歳178,608円/年360,309円/年
21歳~25歳79,838円/年150,998円/年
26歳~29歳46,418円/年83,063円/年
30代32,763円/年59,637円/年
40代29,868円/年56,357円/年
50代28,543円/年55,276円/年
60代27,538円/年52,426円/年
70歳以上33,709円/年60,975円/年
記名被保険者の始期日年齢車両保険なし車両保険(一般)
18歳~20歳165,803円/年303,306円/年
21歳~25歳74,677円/年121,860円/年
26歳~29歳42,367円/年65,686円/年
30代30,814円/年48,287円/年
40代29,990円/年49,125円/年
50代28,860円/年47,253円/年
60代27,345円/年43,260円/年
70歳以上32,570円/年51,217円/年
記名被保険者の始期日年齢車両保険なし車両保険(一般)
18歳~20歳200,691円/年429,096円/年
21歳~25歳86,430円/年175,704円/年
26歳~29歳50,409円/年95,361円/年
30代34,671円/年67,493円/年
40代29,993円/年62,204円/年
50代28,626円/年62,291円/年
60代28,082円/年60,200円/年
70歳以上35,176円/年72,040円/年
記名被保険者の始期日年齢車両保険なし車両保険(一般)
18歳~20歳179,519円/年331,284円/年
21歳~25歳80,195円/年141,324円/年
26歳~29歳46,317円/年74,471円/年
30代31,551円/年53,226円/年
40代28,271円/年49,807円/年
50代27,043円/年49,583円/年
60代26,610円/年47,115円/年
70歳以上33,202円/年55,263円/年

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修理費用全額が補償されない場合もある

車両保険で補償される上限額は契約時や更新時に決める車両保険金額です。修理費用が車両保険金額を上回っていても車両保険金額までしか補償されません(新車特約などを除く)。例えば車両保険金額が100万円であれば、修理費用が120万円などであっても100万円までしか支払われません。

車両保険金額を高くすればよいと思うかもしれませんが、車両保険金額は車の時価相当額をもとに保険会社が提示する範囲で設定するものです。そのため、自由には決められません。

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中古車や購入してから年数が経った車は十分な車両保険金額をつけられない

上で説明しましたが、車両保険金額は車の時価相当額をもとに設定します。そのため、中古車や購入してから年数が経った車は時価額が相応に減っているため、十分な車両保険金額を設定できないことが考えられます。

そうした場合、車両保険はいらないという判断になることも少なくありません。

少額の修理費用では自腹の方が得の場合もある

車両保険を使うと事故の内容によって翌年度の等級が3等級あるいは1等級ダウンします。対車との事故や単独事故では基本的に3等級ダウン、盗難やイタズラ、自然災害、飛び石などでは1等級ダウンです。

等級が下がると保険料が上がってしまいます。そのため、車の修理費用が数万円の場合などでは、翌年からの保険料の値上がりを考えると車両保険を使わない方が得ということも起こりえます。例えば以下の表の場合、保険を使う場合と使わない場合とで3年間で合計14万円の差が生じます。修理費用が10万円程度であれば自腹で払った方が総合的にはお得です。

保険を使う場合と使わない場合の保険料例
保険を使わない場合保険を使う場合
事故年無事故14等級70,000円無事故14等級70,000円
1年後無事故15等級68,540円事故有11等級116,670円
2年後無事故16等級67,080円事故有12等級113,750円
3年後無事故17等級65,630円事故有13等級110,830円
合計-271,250円-411,250円

※上表は等級の割増引率から単純に計算した保険料例です。実際の保険料については保険会社にご確認ください。

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車両保険の必要性が高い人とは?

「いらない」という意見もありますが、車両保険の必要性が高い人もいます。以下に当てはまるような場合は特に車両保険を検討した方がよいでしょう。

ローン残高が残っている

自動車をローンで購入した場合で多額のローン残高が残っている場合は車両保険に加入したほうがよいでしょう。

仮に車が全損し再購入が必要になった場合に、車両保険に加入していた場合は元の車のローンの返済費用に充てることができますが、車両保険に加入していなかった場合は、元の車のローンの返済に加えて新しい車の購入費用も支払う必要が生じます。新しい車を買わない場合でもローンが免除になるわけではなく、むしろ一括で返済を求められることもあるので車両保険が必要だといえるでしょう。

貯蓄が十分にない

高額な修理費用がかかったり全損して再購入する必要が生じたときに、それを支払うだけの貯蓄の余裕がないのであれば車両保険は必要だといえるでしょう。自分がどれだけ事故に気を付けていても、駐車場で当て逃げされてしまったり自然災害の被害にあったりして車の修理が必要となる可能性は否定できません。こうした事態に備えるためにも貯蓄が十分にないのであれば車両保険の必要性は高いといえるでしょう。

車を日常的に使うのであればさらに必要性が高い

貯蓄が十分になくても、車がない生活でお金が貯まるまで耐えしのげるのであれば、不便ではありますが車両保険がなくても何とかなります。しかし、車を日常的に使う場合や代替となる交通手段がない場合などでは早く修理や再購入をした方がよいでしょう。つまり、車を日常的に使うのであればさらに車両保険の必要性が高まるといえます。

豪雨や雹などの自然災害のリスクが高い地域に住んでいる

台風や集中豪雨などで冠水のリスクが高い地域や雹が降りやすい地域など、自然災害のリスクが高い地域に住んでいる場合は車両保険の必要性が高まります。いくら交通事故に気を付けていても台風で洪水が起きて車が水没し、廃車となってしまうこともあり得ます。近年、自然災害も増えていますので、車両保険の必要性も高まっているといえるでしょう。

車両保険の必要性が低い人とは?

車両保険の必要性が高い人を紹介しましたが、逆に、車両保険の必要性が低い人もいます。それはどのような人でしょうか。

車を購入してから年数が経っている

車両保険の補償額の上限である車両保険金額は車の時価相当額で設定します。そのため、購入してから年数が経っていたり中古車を購入したりして十分な保険金額を設定できない場合は、もし事故を起こして修理や再購入が必要となっても十分な保険金を受け取れない可能性も高くなるので、車両保険の必要性は低いといえるでしょう。

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貯蓄が十分にある場合

事故などで車の修理や再購入が必要となっても貯蓄が十分にあってそこから賄えるという場合には車両保険の必要性は低いでしょう。保険というのは基本的に期待値で考えるとマイナスとなります。それでも加入するのは個人では負いきれないリスクを多数の人に分散して支えあうためです。車の修理費や再購入費用を個人で問題なく支払えるのであれば車両保険に加入する必要性は低いでしょう。

どれくらいの人が車両保険をつけている?

どれくらいの人が車両保険をつけているのか、損害保険料率算出機構のデータより紹介します。

用途・車種保有車両数車両保険付保台数車両保険普及率
自家用普通乗用車20,514,938台12,934,231台63.0%
自家用小型乗用車18,165,212台9,542,809台52.5%
軽四輪乗用車23,070,718台11,304,456台49.0%

※保有車両数、付保台数は2023年3月末時点での台数です。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況(2023年度版)

自家用普通乗用車(いわゆる3ナンバー)で6割ほど、自家用小型乗用車(いわゆる5ナンバー)や軽四輪乗用車で5割ほどの普及率です。

一つ注意点として、分母である保有車両数には自動車保険に加入していない車も含まれています。基本補償である対人賠償の付保台数を分母にした場合は以下の表のとおりとなります。

用途・車種対人賠償付保台数車両保険付保台数車両保険付帯率
自家用普通乗用車16,954,815台12,934,231台76.3%
自家用小型乗用車14,262,668台9,542,809台66.9%
軽四輪乗用車17,966,413台11,304,456台62.8%

※付保台数は2023年3月末時点での台数です。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況(2023年度版)」より算出

車両保険の保険料を安くする方法

車両保険をつける必要がある場合でもその保険料は安くしたいものです。車両保険の保険料を安くする方法を紹介します。

免責金額を大きくする

自動車保険に車両保険をつける場合、免責金額の設定を行います。免責金額とは車両保険を使うときに自己負担する金額のことです。例えば、免責金額が5万円で車の修理費が50万円の場合、5万円自己負担して残りの45万円が車両保険の保険金として支払われます。

免責金額は一般に「0-10万円」のように保険期間中の1回目の事故での免責金額と2回目以降の事故の免責金額の組み合わせで設定します。「0-10万円」の場合は1回目の事故は免責金額0円、2回目以降の事故は免責金額10万円という意味です。

免責金額を大きくすれば保険会社の支払は減るので保険料も安くなります。事故時に5万円や10万円ほどであれば負担しても問題ないのであれば免責金額を大きくすることを検討してみましょう。

車両保険の免責金額とは?いくらに設定する?
自動車保険に車両保険を付帯するときに決める必要があるものに「免責金額」があります。何やら硬い感じの言葉と「0-10万円」のような二つの数字が書いてあり、意味がよくわからないという方もいるのではないでし ...

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エコノミー型にする

最初に説明しましたが、車両保険には補償範囲の広い「一般型」と補償範囲を限定する代わりに保険料を安くした「エコノミー型」とがあります。エコノミー型にすると自損事故や当て逃げなどで補償を受けられなくなりますが、保険料を安くすることができます。初心者ドライバーにはあまりおすすめできませんが、運転に自信がある方であればエコノミー型にするのを検討してみてはいかがでしょうか。

一括見積もりサービスを利用する

車両保険のみではなく自動車保険全体をターゲットとした方法ですが、一括見積もりサービスを利用して見積もり結果を比較し、保険料が安い保険会社と契約するという手も考えられます。もちろん、保険料が安いだけが良い保険会社の条件ではありませんが、同じ補償内容あるいは許容できる範囲の補償内容の違いであっても保険料が大きく違うこともあります。特に、代理店型とネット型の自動車保険を比較すると代理店手数料などの問題でネット型の方が保険料が安いことが多いです。一括見積もりサービスを利用して一度保険料を比較してみましょう。

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まとめ

保険料が高くなる、必ずしも修理費用の全額が補償されるわけではない、などの理由で「車両保険はいらない」といわれることがあります。しかし、ローンを組んで車を購入した場合や貯蓄が十分にない場合などでは、修理費用や再購入費用を賄うためにも車両保険の必要性が高いです。車両保険が必要か否かはその人の状況にもよるので、他人の意見をそのまま鵜吞みにするのではなく、根拠を確認したうえで自分に当てはまるか考えて判断するようにしましょう。


堀田健太

著者情報

堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。

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