自分の家の車が小型なため、知人宅で所有するミニバンを借りて遠出をするという時、友人の所有する車で運転を交代しながら出かける予定があるといった時、自動車保険の準備はどのようにしておけば万が一の事故にも備えられるのでしょうか。友人や他人の車を借りて出かける時の自動車保険について紹介します。
もくじ
友人・知人の車を運転する時のための自動車保険
友人・他人の車を運転している時の自動車事故に備えるにはいくつか方法があります。友人や知人など他人の車を借りて運転していた時に利用できる自動車保険について紹介します。
自分で自動車事故に備えておく
自分の自動車保険の「他車運転特約」を使う
自分が普段運転している車の自動車保険に「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」の特約があれば契約の車以外を借りて運転中に起こしてしまった自動車事故を自分の車の自動車保険を利用し、補償を受ける事ができます。友人や知人の車を借りて運転していた時に起こした事故など、契約車両でない自動車を運転していた時に起こした事故に対して保険金を支払ってもらえる特約です。補償内容は自分の所有する自動車保険の内容に準じます。
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「1日自動車保険」に加入するという方法
1日だけあるいは数日だけ友人や知人の車を借りて運転したいというときに便利なのが1日自動車保険です。1日自動車保険は1日(24時間)単位で加入する保険です。自分の所有する車がなく自動車保険に加入していない人が1日だけあるいは数日だけ契約し他人の車を借りて自動車保険の補償がある状態で車を運転することができます。友人や知人にできるだけ迷惑を掛けたくないという人は車を借りている間の自動車保険を自分で契約しておくことができるので便利です。申し込みもスマートフォンからやコンビニなどで手軽に加入することができます。
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「ドライバー保険」に加入するという方法
自分で所有する車がなく頻繁に友人や知人の車を借りて運転する場合には、ドライバー保険に加入するという方法があります。ドライバー保険は1日自動車保険と似ているように思いますが、下記のような点に違いがあります。自動車保険は等級や年齢条件などが保険料に影響しますが、ドライバー保険でも契約者の等級や年齢が自動車保険に影響します。
- 契約期間:1年間(原則)
- 等級制度:あり(通常の自動車保険との引継ぎは不可)
- 車両保険:なし
- 年齢:保険料に影響あり
1日自動車保険 | ドライバー保険 | |
---|---|---|
契約期間 | 1日単位 (最長:連続7日) | 1年間 |
等級制度(保険料への影響) | なし | あり |
年齢(保険料への影響) | なし | あり |
車両補償 | 契約プランにより選択可 | なし |
友人・知人の車の自動車保険で補償を受ける方法
「運転者限定」条件を確認しておく
車の貸し借りをして運転をする場合、車を貸す人はその車で加入している自動車保険の運転者限定の条件を確認しておきましょう。運転者を限定すると保険料を安くすることができますが、限定した範囲外の人が車を運転した場合は補償を受ける事ができません。すなわち、車を借りた人が自分の車の他車運転特約の契約がなかったり、1日自動車保険やドライバー保険の加入が無く、自分で自動車保険に備える準備を行っておらず、車の自動車保険の運転者が限定されていれば交通事故をおこしてしまっても自動車保険で補償がされません。それは、車を貸した人と借りた人双方の自己資金で事故の相手に対する損害賠償を負担することになります。
運転者限定には、一般に「限定なし」「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定」があります。最近では、「家族限定」が廃止となり、「本人限定」が新設されるようになっていますが、友人や知人に車を貸す場合は、誰が運転しても補償となる「限定なし」の設定になってるか確認しましょう。車を貸した友人や知人が自分で自動車保険の備えを行っていない状況で交通事故を起こしても車を貸した人の自動車保険で補償をすることができます。
限定する範囲 | 運転できる人 | 保険料 |
---|---|---|
限定なし | 誰が運転しても補償される | ![]() |
家族限定 | 本人+本人の配偶者+同居の親族+別居の未婚の子 | |
本人・配偶者限定 | 本人+本人の配偶者 | |
本人限定 | 本人のみ |
※家族限定について、保険会社によって限定できる範囲が異なる場合があります。
※親族とは6親等以内の血族、3親等以内の姻族(配偶者の血族)を指します。
友人・知人に車を貸す時に注意したいこと
自分の自動車保険を使った時の「等級」について
自分の車を貸した友人・知人が貸した車で交通事故を起こしてしまっても運転者が限定なしの設定になっていれば自分の契約する自動車保険で補償を受ける事ができると説明しましたが、自分の自動車保険を使って保険金が支払われると等級に影響し、翌年度からの保険料は高くなります。自分が起こした交通事故ではなくても、自分の保険を使えば保険料に影響するということを知っておきましょう。友人・知人との関係性が崩れてしまわないように自分の車を他人に貸す時には、事故が起こってしまった時のリスクについても知っておくとよいでしょう。
車を貸した友人の「交通違反」について
車を貸した友人が貸した車で運転中にスピード違反でオービス(自動速度違反取締装置)に撮影されてしまったり、違法駐車で駐車禁止(駐禁)に問われてしまったり等した場合、自動車の所有者である自分が警察から呼び出されることもあります。違反時に運転していた人が友人だという事が判明していれば友人が罰則を受けますが、友人が違反金を支払わないなどの場合には車の所有者である自分が罰金を支払わなければいけないこともありますので注意しましょう。
車を貸す友人は「運転免許証」所有者である
当然のことですが、貸した車を運転する友人や知人は有効期限内の運転免許証を持っていることを確認しておきましょう。車を運転する友人や知人が無免許運転だった場合、車を貸した人も罪に問われる可能性があります。友人や知人が無免許だと知りながら車を貸した場合、「無免許運転幇助行為」となり、車を貸した人も刑事処分として3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。更に行政処分として2年間の免許取消し処分になります。
まとめ
友人や知人の車を借りて車を運転する時には、友人や知人に経済的な負担をかけないためにも借りる側が万が一の事故に備えて自動車保険の補償の準備をしておくことが望ましいように思います。交通事故は注意していても突如として起こってしまうこともあります。他人の車を借りて運転する時には、自分の車を所有している人は「他車運転特約」に契約する、自分の車がない人でも「1日自動車保険」や「ドライバー保険」で補償を備えておくようにしましょう。
また、何よりも事故が起こってしまっても相手に十分な補償ができるように貸す側も借りる側も自動車保険の補償が十分備わっているか確認しておく事が大切です。他人の車で起こした事故に備える補償について知っておきましょう。友人や知人との今後の関係性に影響することがないように他人の車を借りて運転する際には補償をしっかり備えて安全運転でドライブを楽しみましょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。