自動車保険の保険料を算出するための区分の一つとして「用途・車種」があります。自家用乗用車に乗っている分には気にならないことも多いですが、車両入替の条件の中に出てくるなど契約上は様々な場面にかかわっています。用途・車種とは何か、どのように確認できるのかなどについて紹介します。
用途・車種とは
自動車保険の用途・車種とは、自家用普通乗用車などの車の使用形態や車の構造・大きさなどにより区分した分類のことです。保険料を算出するための区分であり、保険会社が車検証やナンバープレート上の分類番号や色などで判定しています。
用途・車種のうちの用途とは自家用または営業用といった使用形態を指します。自動車保険の契約時に申告する「日常・レジャー」などの使用目的とは異なります。自家用車で車の使用目的が業務ということもあります。また、用途・車種のうちの車種とは車の構造・大きさの分類です。普通乗用車や軽四輪乗用車、小型貨物車などと区別されています。
用途・車種の識別方法
自動車保険の用途・車種は保険会社の判定によるので細かくは異なる場合がありますが、基本的には車検証の記載内容やナンバープレートの色と分類番号(地名の横の3‥や5‥などの数字)などによって識別することができます。
ナンバープレートの色
ラグビーワールドカップ記念や東京オリンピック記念、地方版図柄入りナンバープレートなどを除き、一般にはナンバープレートの色は以下のような区分に基づいて決められています。
- 白地に緑文字:自家用自動車(登録車)、商用車
- 黄色地に黒文字:自家用軽自動車、軽商用車
- 緑地に白文字:営業用車(登録車)
- 黒地に黄色文字:営業用軽自動車
営業用車は運送用のトラックやタクシー、バスなど運ぶことを業務としている車です。会社所有の車であっても移動用や自社の商品を運ぶための車であれば、人や物を運んで運賃を得ているわけではないので白地や黄色地のナンバープレートとなります。また、これ以外にも外務省管轄で日本国内に駐在する大使・領事など外交官が使用する車両に付けられる青地に白文字などのナンバープレートもあります。
分類番号
ナンバープレートの地名の横に表記されている1桁から3桁の数字が分類番号です。この分類番号の上1桁(300なら3)を見ることで車の大まかな用途や大きさが分かります。上1桁目の数字をもとに3ナンバーや5ナンバーなどと呼ばれることも多いです。分類は以下の表のとおりです。
登録車
分類番号 | 区分 |
---|---|
1ナンバー | 普通貨物自動車 |
2ナンバー | 普通乗用自動車(定員11名以上) |
3ナンバー | 普通乗用自動車 |
4ナンバー | 小型貨物自動車 |
5ナンバー | 小型乗用自動車および小型乗合自動車 |
6ナンバー | 小型貨物車 |
7ナンバー | 小型乗用自動車および小型乗合自動車 |
8ナンバー | 特種用途自動車 |
9ナンバー | 大型特殊自動車 |
0ナンバー | 大型特殊自動車のうち建設機械 |
軽自動車(検査対象)
分類番号 | 区分 |
---|---|
4ナンバー、6ナンバー | 貨物自動車 |
5ナンバー、7ナンバー | 乗用自動車 |
8ナンバー | 特種用途自動車 |
自家用8車種・自家用5車種とは
用途・車種の中でも自家用の8つや5つの車種をまとめて自家用8車種や自家用5車種と呼ぶことも多いです。ノンフリート契約(9台以下の契約)では、契約車両が自家用8車種や自家用5車種であることが契約の条件となっていることが多いです。自家用6車種という区分の保険会社もあります。
それぞれに当てはまる用途・車種を紹介します。また、参考としてそれに当てはまるナンバープレートの色と分類番号も一緒に記載します。
自家用5車種
用途・車種 | ナンバープレートの色・分類番号 |
---|---|
自家用普通乗用車 | 白地に緑文字・3ナンバー |
自家用小型乗用車 | 白地に緑文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪乗用車 | 黄色地に黒文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪貨物車 | 黄色地に黒文字・4ナンバー、6ナンバー |
自家用小型貨物車 | 白地に緑文字・4ナンバー |
自家用6車種
自家用5車種に自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)を加えたものです。
用途・車種 | ナンバープレートの色・分類番号 |
---|---|
自家用普通乗用車 | 白地に緑文字・3ナンバー |
自家用小型乗用車 | 白地に緑文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪乗用車 | 黄色地に黒文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪貨物車 | 黄色地に黒文字・4ナンバー、6ナンバー |
自家用小型貨物車 | 白地に緑文字・4ナンバー |
自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下) | 白地に緑文字・1ナンバー |
ナンバープレートが白地に緑文字で1ナンバーでも、最大積載量が0.5トン超である場合は自家用6車種には含まれません。
自家用8車種
自家用6車種に自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)、特殊用途自動車(キャンピング車)を加えたものです。
用途・車種 | ナンバープレートの色・分類番号 |
---|---|
自家用普通乗用車 | 白地に緑文字・3ナンバー |
自家用小型乗用車 | 白地に緑文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪乗用車 | 黄色地に黒文字・5ナンバー、7ナンバー |
自家用軽四輪貨物車 | 黄色地に黒文字・4ナンバー、6ナンバー |
自家用小型貨物車 | 白地に緑文字・4ナンバー |
自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下) | 白地に緑文字・1ナンバー |
自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下) | 白地に緑文字・1ナンバー |
特種用途自動車(キャンピング車) | 白地に緑文字・8ナンバー |
ナンバープレートの色や分類番号などに基づくと自家用小型貨物車または自家用普通貨物車に該当する場合であってもダンプ車は自家用8車種には該当しません。また、キャンピング車以外の特種用途自動車も自家用8車種には含まれません。
まとめ
自動車保険の用途・車種とは、車の使用形態や車の構造・大きさなどにより保険料を算出するための区分です。車検証上の記載やナンバープレート上の分類番号・色などで判定します。自家用乗用車を運転している分には契約上の問題は起きてこないでしょうが、車両入替や他車運転特約などで条件を確認すると「用途・車種が自家用8車種であること」などと出てくることがあります。そうした場合に何のことを言っているのかすぐに理解できるようにしておくとよいでしょう。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。