
車の盗難被害は2003年のピーク時(64,223件)からは1割以下に減少していますが、2021年の5,182件を底に近年は増加の兆しを見せています※。自宅の駐車スペースや外出先で車が盗難被害にあった場合、加入している車両保険で補償されるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。万が一、盗難被害にあった場合に行うべき手続きや、盗難されないようにするための対策についても知っておきたいところです。
※出典:警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」
この記事では、車が盗難されたときの車両保険の補償やその手続きについて解説。また、車の盗難対策と車の盗難にあたって保険を使った際の注意点について解説します。
記事の要約
- 車が盗難された場合、「全損」扱いで車両保険で補償される。
- 車上荒らしの場合、鍵穴など車自体の損害は車両保険で、車の中に置いていた物については身の回り品補償特約での補償になる。
- 保険金が支払われるまでの流れは、警察に盗難届→保険会社に連絡→実態調査ののち保険金支払い。
もくじ
車の盗難被害は車両保険の適用対象
車が盗難された場合、一般的にその被害は車の「全損」として扱われます。全損とは、車が物理的な走行・修理が不可能な状態(物理的全損)のことを指します。また、修理そのものは可能でも、修理費用が現時点での時価額を上回る場合も全損扱い(経済的全損)です。
盗難は車両保険の適用対象であり、全損扱いのため、契約時に設定した支払限度額である「車両保険金額」が全額支払われます。なお、保険金が支払われた場合、盗難された車の所有権に関しては、下記の保険法第24条にもとづいて保険会社へ移転することになります。
<保険法第24条 残存物代位>
保険者は、保険の目的物の全部が滅失した場合において、保険給付を行ったときは、当該保険給付の額の保険価額(約定保険価額があるときは、当該約定保険価額)に対する割合に応じて、当該保険の目的物に関して被保険者が有する所有権その他の物権について当然に被保険者に代位する。
車上荒らしは被害内容によって補償が変わる
車自体は盗まれなかったものの、車に積んだ荷物などを窃取する車上荒らし(車上ねらい)にあった場合、車の鍵穴や窓ガラスを壊されたり、カーナビなどの車両搭載品を盗まれたりした損害は車両保険で補償されます。
車内に置いていた物の盗難被害は、基本的には車両保険の適用対象外です。ただし「身の回り品補償特約」(保険会社によって名称は異なります)といった特約を付帯していれば、補償を受けられる可能性があります。なお、通貨やクレジットカードなどは対象外となっているので気をつけましょう
車上荒らしにあったときの詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
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車の盗難にあったときの手続き
万が一、車の盗難被害にあった場合、車両保険の保険金を受け取るには、どのように対処すればいいのでしょうか。ここでは、車の盗難にあったときの手続きについて解説します。
1.警察に届け出る
車の盗難にあったときには、まず警察へ被害を届け出る「盗難届」を提出する必要があります。盗難届提出手続きの際は、下記の項目についてわかる範囲で報告しましょう。
<車の盗難被害時に警察へ届け出るべき項目>
- 自動車登録番号(ナンバープレートの番号)
- 自動車車台番号(車検証などに記載)
- 車の色・特徴
- 車の年式
- 所有者名、使用者名
- 盗難届出者名
- 盗難年月日時
- 盗難場所
- 盗難時の状況
- 車内の貴重品など
盗難届が受理されると、受理番号(受付番号)が交付されます。その後の保険会社での調査や手続きに必要となるので、紛失しないようにしてください。
2. 保険会社に連絡する
車の盗難被害を警察に届け出たら、保険会社に連絡しましょう。保険会社により、保険金の支払いのための実態調査が行われます。
保険会社による確認を目的としたヒアリングが行われるため、警察の受理番号や保険証券番号などのほか、盗難被害の状況などをできる限り詳細に報告します。その後の保険会社による実態調査には、約1~2ヵ月かかると考えておきましょう。
3. 一時抹消登録を行う
盗難車発見の可能性がある場合には、一時抹消登録を行う必要があります。一時抹消登録とは、車の使用を一時的に停止し、運輸支局などに登録されている情報を消すための手続きです。一時抹消登録を行わないと、車が手元になくても自動車税の支払いが必要となります。
なお、一時抹消登録した盗難車が見つかった場合、あらためて新規登録しなければならない点に注意しましょう。また、盗難車が見つかったものの全損状態だった場合は、永久抹消登録を行うことになります。
4.保険金が支払われる
保険会社が車の実態調査を終えたら、車両保険の保険金が支払われます。なお、保険金支払い後に盗難された車が見つかった場合については、後述します。
車の盗難により車両保険を使った際の注意点
車の盗難の際に車両保険を使う際には、いくつか気をつけたいことがあります。ここでは、車の盗難により車両保険を使った際の注意点について解説します。
保険金支払い後に盗難車が発見されたら?
車両保険の保険金支払い後に盗難車が発見された場合は、受け取った保険金を保険会社に戻せば、代わりに保険会社名義になっていた自分の車を返還してもらい、乗り続けることができます。
また、発見された盗難車がダメージを受けている場合には、車両保険を使って、その分の補償を受け取ることも可能です。
ただし、この返還請求は一定期間内に限られることに注意しましょう。保険会社によって条件は異なるものの、保険金の支払いを受けた日から60日以内というのが一般的です。
車両保険を使うと次年度は1等級ダウン
盗難で車両保険を使って保険金を受け取った場合には、「1等級ダウン事故」として扱われ、次年度の等級が1等級ダウンすることにも注意してください。また、保険料の割引率が下がる期間である「事故有係数適用期間」が、1年分適用されます。
ちなみに、車の盗難以外で1等級ダウン事故に該当するケースは、落書きやいたずらによる破損や飛来物の衝突のほか、台風や洪水による損害などがあります。
車を盗難されないようにするための対策
車の盗難で車両保険を使わないようにするには、盗難にあわないのが一番です。ここでは、車を盗難されないようにするための対策について解説します。
ハンドルロックなど防犯グッズを装着する
「ハンドルロック」や「ホイールロック」などの防犯グッズを装着することは、代表的な車の盗難対策といえるでしょう。ハンドルロックやホイールロックは、車のハンドルやホイールに装着し、物理的に固定するグッズです。これらのグッズは車外からも見られるため、防犯意識の高さのアピールになり、犯罪抑止効果が期待できます。
また、スマートキーが発する微弱な電波を検知・利用する「リレーアタック」対策として、スマートキーを電波遮断ケースに収納するのも効果的です。
駐車スペースに防犯カメラを設置する
車を盗難されないようにするには、駐車スペースに防犯カメラを設置するのも犯罪抑止の面で有効といえるでしょう。仮に盗難被害にあったとしても、犯罪行為の証拠を確保できるメリットがあります。
駐車スペースに備え付ける防犯カメラは、盗難の多い夜間にも対応できるよう、高画質で動体検知のものを選ぶのがおすすめです。
外出先では人目のない駐車場は避ける
外出先では薄暗く、人目のない駐車場を避けることも、車を盗難されないようにするための対策といえます。防犯カメラが設置されていたり、人の往来が多くて明るい場所に停めたりすることで、盗難のリスクを下げることができるでしょう。
駐車監視機能付きドライブレコーダーを装着する
車を盗難されないようにするため、駐車監視機能付きドライブレコーダーを装着することも対策として挙げられるでしょう。駐車監視機能付きドライブレコーダーとは、エンジンが停止している駐車中にもカメラが作動して周囲の人や車の動きを記録するものです。車の盗難や当て逃げなどに対して高い効果を発揮します。
盗難された車が事故を起こした場合はどうなる?
盗難された車が事故を起こした場合、それによる損害賠償責任を所有者が負うことは基本的にありません。事故の損害賠償責任は、その事故の当事者である窃盗犯が負うことになります。
ただし、所有者にも事故の損害賠償責任が生じる可能性もあります。それは「車を無施錠のまま放置し、車から離れていた」や「盗難届を警察に提出しないまま放置した」といったように、車の管理を所有者が適切に行っていない場合です。所有者にこのような過失がある場合には、損害賠償請求されるリスクがあることを認識しておきたいところです。
盗まれた車で事故を起こされたときの詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
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まとめ
車が盗難された場合、車両保険で補償を受けられます。一般型でもエコノミー型でも補償対象です。盗難は全損扱いとなるため、契約時に設定した保険金額の全額が保険金として支払われます。また、全損時諸費用保険金などの契約があればそちらも支払われることになります。
車両保険をつけると保険料が高くなります。盗難やその他の車両への損害の備えのために車両保険は契約したい、しかし保険料はできる限り抑えたいという場合は自動車保険の一括見積もりサービスがおすすめです。インズウェブの自動車保険の一括見積もりサービスでは1度の情報入力で複数の保険会社の見積もりを取ることができます。各社の保険料を比較して安い自動車保険を探しましょう。







