自動車保険の見直したタイミングには、いくつかのタイミングがあります。適切なタイミングに自動車保険の補償内容などを見直し、保険料を安くしたいところです。また、見直す際には運転者の年齢条件や範囲などのポイントをしっかりと押さえましょう。
この記事では、自動車保険の見直しタイミングと見直し時に確認したい補償内容のほか、見直しのポイントについて解説します。
もくじ
自動車保険の見直しタイミング
自動車保険の見直しには、いくつかのタイミングがあります。適切なタイミングで、補償内容の変更や保険会社の乗り換えなどを検討しましょう。
ここでは、自動車保険の見直しタイミングについて解説します。
満期(更新)の案内を受けたとき
自動車保険の見直しタイミングのひとつが、保険契約の満期(更新)の案内を受けたときです。
自動車保険は、基本的に1年契約となっています。一般的には、保険満期日の2~3ヵ月前になると、加入保険会社から満期(更新)の案内が送付されます。
なお、この案内には、現在の補償内容と保険料のほか、更新後の保険料などが記載されているはずです。案内が届いたタイミングで補償内容などを確認し、必要であれば保険会社や契約内容を見直しましょう。
同居家族による車の使用状況が変わったとき
同居している家族による車の使用状況が変わったときも、自動車保険の見直しのタイミングといえます。これは、補償される運転者の範囲を限定する「運転者限定特約」を見直す必要があるからです。
同居家族の車の使用状況が変わる例としては、下記のようなものがあります。
<同居家族の車の使用状況が変わり、自動車保険を見直すタイミングとなる例>
- 運転していた同居家族が進学・就職や結婚で別居した場合
- 同居家族が新たに運転免許を取得した場合
自動車保険は下記のように、運転者を限定すればするほど、支払う保険料を抑えられます。
限定する範囲 | 運転できる人 | 保険料 |
---|---|---|
限定なし | 誰が運転しても補償される | 高い ↑↓ 安い |
家族限定 | 本人+本人の配偶者+同居の親族+別居の未婚の子 | |
本人・配偶者限定 | 本人+本人の配偶者 | |
本人限定 | 本人のみ |
※運転者の限定範囲は保険会社によって異なります。「家族限定」を廃止する保険会社も増えています。
運転者の年齢条件が変わったとき
運転者の年齢条件が変わったときも、自動車保険の見直しのタイミングです。
これは、自動車保険は運転者の年齢によって、保険料が大きく異なるからです。一般には、年齢が高くなるほど保険料は安くなります。
具体的には、下記のとおりです。
限定する範囲 | 運転する人の年齢 | 保険料 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
20歳以下 | 21歳~25歳 | 26歳~29歳 | 30歳~34歳 | 35歳以上 | ||
限定なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 高い ↑↓ 安い |
21歳以上 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
26歳以上 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | |
30歳以上 | × | × | × | 〇 | 〇 | |
35歳以上 | × | × | × | × | 〇 |
車の使用目的が変わったとき
車の使用目的が変わったときも、自動車保険の見直しタイミングとして挙げられます。自動車保険の保険料は、契約車の主な使用目的によって変わる仕組みだからです。
自動車保険における車の使用目的は、主に下記の区分に分けられています。
使用目的 | 基準 | 保険料 |
---|---|---|
業務 | 年間を通して週5日以上もしくは月15日以上業務に使用する場合 | 高い ↑↓ 安い |
通勤・通学 | 業務使用に該当せず、年間を通じて週5日以上もしくは月15日以上通勤・通学に使用する場合 | |
日常・レジャー | 業務使用、通勤・通学使用に該当しない場合 |
※職場や学校への送迎など、基準は保険会社によって異なる場合があります。
一般的に、「業務使用」の場合は保険料が最も高く、「日常・レジャー使用」の場合は安くなります。
車を買い替えたとき
車を買い替えたときも、自動車保険の見直しのタイミングとして挙げられます。なぜなら自動車保険は、契約車両の「型式別料率クラス」によって保険料が変わるからです。型式別料率クラスとは、車(型式)ごとの事故実績にもとづいた事故リスクを、クラス別に設定したものです。
型式別料率クラスは自家用普通乗用車・小型乗用車で17クラス、自家用軽乗用車は7クラスに区分されています。数字が小さいほど、過去の保険金支払実績が少ないため、保険料が安くなります。
また、新車やエコカーに買い替えた場合は、自動車保険の「新車割引」や「エコカー割引」の適用対象となる可能性もあるので、このタイミングでも自動車保険の乗り換えや見直しを検討したいところです。
なお、車を買い替えた場合、自動車保険の契約車両が自動的に変更されるわけではありません。車を買い替えたら、保険会社などに連絡し、「車両入替」の手続きするようにしてください。
自動車保険の見直し時に確認したい補償内容
自動車保険の見直しの際には、補償内容についてよく確認しておきたいところです。ここでは、自動車保険の見直し時に確認したい補償内容について解説します。
対人賠償保険
対人賠償保険は、事故で相手方を死傷させた場合、相手方への損害賠償金を補償する保険です。
車の所有者に加入義務がある自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)では支払えない高額な損害賠償金をカバーするのに、対人賠償保険は効果を発揮します。
対人賠償保険の見直しに関しては、保険金額の上限設定を確認しましょう。事故の相手方1名につき1,000万円から保険金額に設定可能ではあるものの、損害賠償金の高額化が進む昨今では、「無制限」に設定するのが基本といえます。
実際に、損害保険料率算出機構の「2024年度_自動車保険の概況」によれば、対人賠償保険を「無制限」に設定する車は全体の99.6%に達しています。
対物賠償保険
対物賠償保険は、交通事故で相手方の車や建物のほか、ガードレールなどを損傷させてしまった場合に適用される保険です。
車で店舗に突っ込んで損傷を与えた場合、店舗に対する休業補償が生じ、1億円以上の高額な損害賠償を請求されることもありえます。対物賠償保険に関しても、自動車保険の見直し時に保険金額の設定が「無制限」になっているかどうか、確認することをおすすめします。
車両保険
車両保険の補償内容についても、自動車保険の見直し時には確認しておきましょう。車両保険は自分の車の修理に関して、保険金が支払われるものです。
車両保険には「一般型」と、一般型より補償範囲が狭い代わりに保険料が安い「エコノミー型」があります。車のこれまでの使用状況などから判断し、保険料を抑える目的で一般型からエコノミー型へと変更するのも1つの手です。
ただし、エコノミー型はガードレールにこすったり、自転車との事故でボディに傷がついたりした場合には補償対象外となる点には注意してください。
人身傷害保険
自動車保険の見直し時には、契約車両に乗車中の事故で運転者や同乗者が死傷した場合に補償する「人身傷害保険」についても、その補償内容を確認しましょう。
人身傷害保険は、特徴として補償範囲の違う2つのタイプが存在します。契約車両に搭乗している際の事故のみを補償するタイプと、歩行中などに遭った事故も補償対象になるタイプがあります。
2台以上の車を所有している場合の自動車保険の見直し時には、補償範囲の重複などに注意してください。
特約
特約とは、自動車保険の基本的な補償に対する、オプションの補償のことです。特約に関しても、自動車保険の見直し時には補償内容を確認する必要があります。
その理由として、ライフスタイルの変化によって不要になった特約をまだ付帯していたり、補償内容の重複が生じていたりすることが挙げられます。具体的な対策として、ファミリーバイク特約や弁護士費用特約のほか、身の回り品補償特約などの補償内容を確認し、整理するのがおすすめです。
自動車保険を見直す際にチェックすべきポイント
自動車保険を見直す際には、いくつか確認しておきたいポイントがあります。ここでは、自動車保険を見直す際にチェックすべきポイントについて解説します。
年間走行距離
自動車保険の保険料は、年間走行距離によって変わる場合も少なくありません。特にダイレクト型自動車保険では、走行距離が短いほど事故リスクが低いと判断され、保険料が安くなる傾向があります。
年間の走行距離が少ない場合、保険料を安くするためにダイレクト型自動車保険に切り替えるのもおすすめです。
なお、過去1年間の走行距離またはこの先1年間の予定走行距離は、保険加入時に申告します。申告した走行距離をオーバーして走っても、即座に補償がなくなることはありませんが、予定走行距離を申告するパターンの場合、走行距離の変更の連絡をしないままでいると事故時に保険金が支払われない可能性もあります。
実態に近い走行距離で申告し、変更が生じたら速やかに保険会社に連絡することが大切です。
運転者の年齢条件
運転者の年齢条件は、保険料に大きく影響する要素のため、見直す必要があります。これは前述のように、適切な年齢区分を選ばなければ、保険料が高くなることもあるのが理由です。
例えば、同居する家族のうち、最も若い運転者が26歳の誕生日を迎えたとします。年齢区分が「21歳以上」から「26歳以上」に上がったタイミングで運転者の年齢条件を引き上げれば、保険料の節約が可能です。
反対に、「35歳以上」に設定しており、運転免許を取得したばかりの18歳の家族が運転するようになった場合、運転者の年齢条件を「全年齢補償」に引き下げないと、万が一の際に、補償を受けられないので注意してください。
運転者の範囲
運転者の範囲は、自動車保険の見直しにおいて重要なチェックポイントです。家族構成が変わったときには、運転者の範囲を適切なものに見直してください。
例えば、夫婦と同居している子供が進学・就職や結婚で別居するタイミングで、家族全員を補償対象としていた契約を「本人・配偶者限定」に見直せば、以降の保険料は安くできるでしょう。
反対に、別居していた子供が同居することになったにもかかわらず、運転者の範囲が「本人・配偶者限定」のままだと、同居の子供が運転して、万が一事故に遭っても補償されません。
家族が増えた場合には、保険料は高くなるものの、運転者の範囲を「限定なし」に変更する必要があります。
使用目的
自動車保険の見直しの際には、使用目的についてもチェックしましょう。
例えば、転勤や退職のタイミングによって車で通勤しなくなった場合には、使用目的を「通勤・通学使用」から「日常・レジャー使用」に変更してください。これにより、保険料の負担を軽減可能です。
一方で、転職などによってそれまで「日常・レジャー使用」だった車を通勤に使うことになった場合、使用目的を「通勤・通学使用」に変更しなければなりません。
使用目的は正確に保険会社へ告知する義務があり、実態と異なる内容で申告していると、事故の際に保険金が支払われない可能性もあるので注意が必要です。
自動車保険の種類
自動車保険は大きく分けると、代理店型とダイレクト型(通販型)という2種類があります。実店舗で契約する代理店型に比べ、保険会社と直接電話やインターネットでやりとりするダイレクト型は、保険料が安くなる傾向があります。
自動車保険の保険料を安くしたかったり、自動車保険について自分で調べられるため対面で相談する必要がなかったりする人は、自動車保険の見直しの際にダイレクト型を選ぶのも1つの手です。
自動車保険の見直し時に気をつけたいこと
自動車保険の見直しの際には、いくつか注意したいこともあります。ここでは、自動車保険の見直し時に気をつけたいことについて解説します。
補償内容・特約が重複すると保険料が無駄になる
自動車保険を見直す際は、補償内容や特約が重複していないか必ず確認しましょう。例えば、家族で複数の保険に加入している場合、同じ補償内容や特約が重複しており、必要のない保険料を支払っているケースがあるからです。
また、クレジットカードに付帯できる個人賠償責任保険など、ほかのサービスと内容が重複していないかもチェックが必要です。補償内容や特約の重複を見直すことで、家計全体の節約につながるはずです。
等級が引き継がれない、または進行が遅れる
自動車保険の見直しをする際には、等級の引き継ぎに関しても注意が必要です。
そもそも等級制度とは、各保険会社が共同で運用しているもので、契約者の事故歴に応じた保険料の割増引率が適用されます。自動車保険を見直して、保険会社を乗り換えても等級は引き継がれます。
しかし、前契約の満期日または途中解約日翌日から7日以内に新契約を開始しなければ、等級は引き継がれないので注意が必要です。また、前契約を途中解約して乗り換える場合には、1年間同じ等級のままになるため、満期日での乗り換えに比べて等級の進みが遅れる点にも注意してください。
なお、車を売却して自動車保険を途中解約したものの、将来的に再び車に乗る予定がある場合は「中断証明書」を発行しておけば、等級を最大10年間維持可能です。
解約返戻金は保険料全額が戻ってくるわけではない
自動車保険を途中解約した場合、残りの保険期間に応じて「解約返戻金」が戻ることがあります。ただし、解約返戻金の計算方法は「短期料率」を用いたり、「日割り・月割り計算」を用いたりするなど保険会社によって異なり、なおかつ保険料が全額戻ってくるわけではありません。
解約返戻金は残り期間に相当する保険料を下回るケースがほとんどなので注意してください。
自動車保険の見直しの際には一括見積もりを利用しよう
自動車保険は、満期を迎えて案内が来たり、同居する家族の車の使用状況が変わったりしたときが見直しのタイミングといえます。見直しの際には、補償内容が適切かどうか確認するとともに、年間の走行距離や保険の種類などが今のライフスタイルに合っているかどうかなどをチェックするようにしましょう。
なお、自動車保険の補償内容は、保険会社によって異なります。自身に合った自動車保険を探すには、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかることです。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もり依頼するのをおすすめします。
自動車保険の保険料を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりを一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。
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