近年、車の保有年数が長くなってきていますが、車を長期保有していると故障のリスクも高くなってきます。事故時の自分の車の修理費用などに備えて契約する車両保険ですが、車両保険は車が故障してしまったときにも使えるのでしょうか？
故障による損害は対象外
車両保険は偶然な外来の事故に起因する損害が補償されます。そのため、内的要因となる電気的あるいは機械的な損害は、車両保険では補償されません。なお、車両保険は補償範囲の違いから、一般型と補償範囲が限定されたエコノミー型がありますが、両者とも電気的・機械的な故障損害は補償の対象外となります。
故障による損害とは
車両保険で対象外となる故障による損害とは、自動車の通常の使用方法あるいは使用過程において生じたもののうち電気的・機械的な損害をいいます。例えば、以下のような故障損害が挙げられます。
車両保険の対象にならない故障例
- 電気系・燃料系の不具合によるエンジンストップ
- 冷却水もれなどによるオーバーヒート
- エンジンの潤滑系の不良などによってエンジンの回転数が上昇しない
- ブレーキの効きが悪くなることによるフェード現象（ブレーキの制動力の低下）
- エンジンの潤滑系の不良などによる焼き付き（エンジンが正常に回転しない）
- LEDヘッドランプの基盤故障により、法令上走行不能となった。
- バッテリー自体の劣化、ライトの消し忘れなどによってバッテリー上がりになり装置が作動しない。
- 変速不良を起こしA/T車で自動変速しなくなった。
車両保険が使えるとき
ここで改めて車両保険がどんな時に使えるかを確認しておきます。
車両保険は、以下のような偶然の外来的要因からくる事故による損害ほとんど全てが補償されます。したがって、上記でお伝えしたとおり、内的要因からくる電気的・機械的な事故による損害は補償されません。
- 車やバイクとの事故(相手が判明している場合)
- 自転車との衝突・接触
- 電柱・建物などとの衝突や接触（単独事故）
- 当て逃げ
- 転覆・墜落
- 火災・爆発・台風・洪水・高潮など
- 盗難・いたずら・落書き
- 窓ガラスの損害・飛び石による損害
自然災害による故障は？
自然災害によって発生した故障については、そもそもの原因が外来の自然災害による損害であれば車両保険の対象になります。
例えば、豪雨によって雨水が車内に侵入し、電装品が損傷したためにエンジンがかからなくなった。といった場合は、電気的な故障による損傷ですが、その原因となる雨水は「偶然の事故」であると考えられる為、車両保険の対象となります。
故障したらロードサービスを利用しよう
エンジンストップやオーバーヒートなどの電気的な故障は車両保険では補償されませんが、ロードサービスを利用するとができます。ロードサービスを利用すれば、以下のような故障によって自走不能となった場合、修理工場までのレッカー搬送費用や、レンタカー特約の付帯があればレンタカーを手配することが可能となります。
ロードサービスが対象となる電気的・機械的故障の例
- エンジンストップ
- 始動不良、加速不良、変速不良
- オーバーヒート
- 焼き付き
- バッテリー上がり
- ブレーキの鳴き
- フェード現象
- ペーパーロック現象
- ハンドル操作困難、ハンドル流れ、ハンドルの振動
- タイヤの偏摩耗、タイヤの振動
ロードサービスを比較
ロードサービスは保険会社によって補償される範囲が異なります。例えば、A社ではバッテリー上がりは保険期間中3回まで可能であるが、B社では１回などと、補償範囲が異なります。
また、レンタカー特約についても、設定されている日額や利用可能な日数が異なります。例えば、レンタカー特約を付けたいけど保険料が心配という方は、日額や利用日数上限が少ないレンタカー特約を検討してみても良いでしょう。
保険料と補償内容や保障範囲を比較して、満足のいくロードサービスを探してみましょう。
故障でも使える特約とは？
この特約はエンジンストップやオーバーヒートなどで車が動かなくなり、各社のロードサービスを利用してレッカー搬送された場合に生じた故障損害に関する費用が補償される特約です。
例えば、以下の様な故障が発生した場合、それによって発生する費用が対象となります。
- 燃料ポンプ作動不良により、エンジン停止しレッカー搬送。⇒フューエルポンプが取替となった。
- シフトワイヤが室内ピポット側の摩擦により脱落し走行不能になりレッカー搬送。⇒シフトワイヤを取り替えた。
- 電動ウォーターポンプの作動不良によりオーバーヒートし、自走不能になりレッカー搬送。⇒サーモスタットを取り替えた。
- スクーターモーター不良によりエンジンが始動せずレッカー搬送。⇒スクーターモーターが取替となった。
なお、バッテリーの交換、劣化、錆、腐食などの消耗部品に要する費用や、タイヤパンクのみの損害など対象外となるケースもあります。
保険金額や付帯条件など各社で異なりますので、気になる方は代理店や保険会社に確認してみると良いでしょう。
まとめ
電気的・機械的故障が原因で発生した際の修理費用は車両保険を利用することはできませんが、ロードサービスを依頼すれば、現場での応急処置＋走行不能な場合はレッカー搬送＋レンタカーも手配することが可能です。なお、車両保険が使えるのは、内的要因ではなく偶然の外的要因によって発生した損害が対象になります。
技術の進化によって車を構成する部品がどんどん高度化していますが、使用時間が長いともちろん故障のリスクも高まります。長く同じ車を愛用したいということであれば、事故リスクはもちろんですがいつ起こるか分からない故障についても注目して保険商品を比較してみてはいかがでしょうか。
