自動車保険に新たに加入する際や、すでに登録した情報の変更には、必要な書類や情報が定められています。保険会社によって異なる場合はあるものの、どのような目的でどのような情報が求められているのか、きちんと押さえておきたいところです。
この記事では、任意の自動車保険(以下、自動車保険)の新規加入や名義・住所などの各種変更において必要なもののほか、新たに加入する際の流れについても解説します。
もくじ
自動車保険の新規加入に必要なもの
自動車保険に加入する際、あるいはすでに加入しているものの、別の保険会社で新規加入(保険乗り換え)する際には、どのようなものが必要なのでしょうか。
まずは、自動車保険に新規加入する際に必要なものについて解説します。
運転免許証
自動車保険に新たに加入する際には、運転免許証が必要です。運転免許証は、本人であることの確認のほか、交付日(有効期限)と表面の帯の色が保険会社に確認されます。
運転免許証の帯の色は、「グリーン」「ブルー」「ゴールド」の3種類です。運転免許証を初めて交付された「新規取得者」は、帯の色がグリーンです。
免許取得から3年後に初回更新を受けると「初回更新者」となり、帯の色はブルーに変わります。運転免許証を5年以上継続して所有し、違反点数3点以下の軽微な交通違反を1回した場合は「一般運転者」となり、複数回の交通違反をしたり、ケガを伴う事故を起こしたりした場合は「違反運転者」となりますが、いずれも免許証の色はブルーのままです。運転免許保有期間が5年以上で、交通違反やケガを伴う事故を起こしていない場合、帯の色がゴールドへと変わります。
区分 | 帯色 | 有効期間 | 内容 |
---|---|---|---|
優良運転者 | ゴールド | 5年(70歳は4年、71歳以上は3年) | 5年間運転免許証を継続して保有し、過去5年間に無事故・無違反かつ重大違反教唆ほう助・道路外致死傷を行ったことがない |
一般運転者 | ブルー | 5年(70歳は4年、71歳以上は3年) | 5年間運転免許証を継続して保有し、違反点数3点以下の軽微な違反を1回行ったことがある |
違反運転者 | ブルー | 3年 | 過去5年間に違反歴あるいは事故歴などがある |
初回更新者 | ブルー | 3年 | 運転免許証の保有歴が5年未満で、違反・事故の有無が違反運転者区分に該当しない |
新規取得者 | グリーン | 3年 | 運転免許の新規取得者 |
自動車保険の補償がスタートする保険始期日の運転免許証の色によって、自動車保険の保険料は異なるため、保険加入時に確認されます。具体的には、5年間無事故・無違反のゴールド免許を保有する記名被保険者(主に車を運転する人)には、「ゴールド免許割引」が適用されるのです。
ゴールド免許割引の詳細については、下記の記事で紹介しています。ぜひご確認ください。
ゴールド免許割引の適用タイミングはいつ?適用条件についても解説
ゴールド免許とは、5年間無事故・無違反などの条件をクリアしている優良運転者に交付される運転免許証の通称です。このゴールド免許を取得したドライバーに対しては、自動車保険の保険料が割引になる「ゴールド免許 ...
自動車検査証(車検証)
自動車保険の新規加入時には、自動車検査証(車検証)が必要となります。車検証については、次の項目を確認されます。
車両型式
車両型式は、車を識別するために国土交通省が指定する分類指標です。型式は車検証の「型式」欄やボディに備わる金属製プレートに記載されており、「◯◯◯-◯◯◯◯◯」といったように表示されます。
保険会社が保険料算出する際には、過去の車の事故実績にもとづいた保険料の割増引率である「型式別料率クラス」を参照するために用いられます。
車台番号
車台番号とは、車の車台(シャシー)部分に打刻されている一台一台に振られた固有の識別番号のことです。車台番号は「車体番号」や「フレームナンバー」とも呼ばれ、製造されてから廃車になるまで変わることはありません。数字とアルファベットで構成された車台番号で車の特定が可能となるので、保険契約と契約車の同一性を確認するのに使われます。
登録番号
車の登録番号は、ナンバープレート(正式名称は自動車登録番号標、軽自動車は車両番号標)の番号を指しており、車検証にも記載されています。登録番号は保険契約と紐付いているため、引越ししたときやナンバープレートが盗難に遭ったときなどは、保険会社に通知する義務があります。
正しく通知しなかった場合、保険金の支払が遅れる、本来支払われるべき保険金が支払われないなどの不利益が発生することがあるので注意してください。
初度登録年月
初度登録年月とは、車を初めて運輸支局に登録申請し、受理された日付です。軽自動車の場合は「初度検査年月」といいます。
初度登録年月は、車の時価相当額を決める要素のひとつです。車は新車時から経年劣化とともに価値が低下しますが、車両保険の支払限度額である「車両保険金額」は、そのタイミングにおける時価相当額をもとに決定するからです。初度登録年月は車の年式と基本的に同一であり、初度登録年月から年数が経過した車は、車両保険の支払額が低くなる可能性があります。
また、自動車保険の新車割引の適用をする際、初度登録年月は「新車として扱われるべきかどうか」の基準となるので、保険会社は初度登録年月を確認する必要があるのです。
クレジットカード番号、口座情報
自動車保険の保険料を支払うためには、クレジットカード払いや口座振替といった支払方法を選ぶことになりますが、クレジットカード払いや口座振替の際には、クレジットカードの番号や金融機関の口座情報の登録が必要となります。
なお、支払方法として、クレジットカードによる分割払い(月払い)を選択できる保険会社もあります。分割払いは月々の支払額こそ抑えられるものの、支払総額としては一括払い(年払い)より高くなるので注意しましょう。
自動車保険契約申込書
自動車保険加入時には、自動車保険契約申込書が必要となります。対面式の代理店型自動車保険の場合は保険代理店の窓口で用意してくれるので、記入・押印をして提出します。
インターネット経由で申し込むダイレクト型自動車保険の場合は、基本的に申し込みはWebで完結するため書類はありません。
保険証券(保険会社乗り換えの場合)
すでに自動車保険の契約をしており、ほかの保険会社に新規加入(乗り換え)する場合、現契約の保険証券が必要です。保険証券については「証券番号」を申告します。
証券番号は保険契約ごとに付与されるものです。保険会社は証券番号を照会し、次の項目について確認します。
等級
保険証券に記載されているノンフリート等級制度の「等級」は、契約者の事故歴に応じた保険料の割増引率を定めるために必要なものです。この等級は、ほかの保険会社に乗り換えても引き継がれます(一部の共済を除く)。等級の引き継ぎは、代理店型・ダイレクト型関係なく可能です。
事故有係数適用期間
事故有係数適用期間とは、ノンフリート等級制度における保険料の割増引率を算出する際に用いる「事故有係数」が適用される期間を指します。
事故有契約者の場合には、事故無契約者と比べて同じ等級であっても保険料は高くなります。例えば、同じ17等級であっても、事故なしで16等級から17等級に上がった場合の保険料よりも、20等級から事故を起こして17等級に下がった場合の保険料の方が高くなります。
等級 | 無事故係数 | 事故有係数 |
---|---|---|
16等級 | -54% | -32% |
17等級 | -55% | -44% |
18等級 | -56% | -46% |
19等級 | -57% | -50% |
20等級 | -63% | -51% |
※上表は16等級以上について記載していますが、7等級~15等級においても無事故と事故有で割引率が分かれています。
※割引率は保険会社によって異なる場合があります。
新規で契約する場合の事故有係数適用期間は「0年」で、3等級ダウン事故1件につき「3年」、1等級ダウン事故1件につき「1年」が前年の事故有係数適用期間に加算されます。また、1年経過ごとに前年の事故有係数適用期間から「1年」が引かれます。事故有係数適用期間の上限は6年で下限は0年です。
保険証券には等級の記載の近くに「事故有係数適用期間:◯年」と記載されています。
車のオドメーター値(ダイレクト型の場合)
ダイレクト型自動車保険では、新規加入の際に車のオドメーター(積算走行距離計)の数値が必要となる保険会社もあります。これは、走行距離の多寡によって事故リスクを判断し、走行距離区分にあてはめて保険料を算出しているからです。
ちなみに、走行距離区分は、保険会社によって過去1年分の実走行距離か、1年間の予想走行距離のいずれかで設定されることが多いです。
なお、代理店型自動車保険の場合は、走行距離を直接的に保険料の算出に用いていないことが多く、基本的にはオドメーターの数値を申告する必要はありません。
自動車保険の名義を変更する際に必要なもの
車の所有者が変わったり、結婚・離婚で氏名が変わったりする場合には、自動車保険の名義変更が必要です。自動車保険の名義変更で必要なものは、下記のとおりです。
<自動車保険の名義変更に必要なもの>
- 運転免許証
- 自動車検査証(車検証)
- 保険証券
なお、主に車を運転する人である「記名被保険者」が変わった場合、名義変更ができる先には条件があります。名義変更ができるのは、記名被保険者の配偶者、記名被保険者・配偶者と同居している親族(6親等以内の血族および3親等以内の姻族)に限定されます。また、その際には、事故有係数適用期間も引き継ぐことになります。これ以外の人に変わった場合は新規契約が必要です。
自動車保険の契約車を変える際に必要なもの
自動車保険は車1台ごとに1つの契約を結ぶため、車を乗り換えた場合には手続きが必要となります。自動車保険の契約車を変更した「車両入替」の際に必要なものは、主に下記のとおりです。
<自動車保険の車両入替に必要なもの>
- 新しい車の自動車検査証(車検証)
- 保険証券
保険会社によっては、自動車検査証記録事項や新しい車の注文書・売買契約書のほか、自賠責保険証明書の提出を求められることもあります。
新しい車と古い車それぞれのオドメーターの数値の提出が必要なこともあるため、事前に保険会社へ確認してください。
自動車保険の運転者限定・年齢条件を変更する際に必要なもの
自動車保険は、運転者を限定したり、年齢条件をつけたりすることで、保険料を安くすることが可能です。車を運転する人が変わって、運転者限定・年齢条件を変更する場合、手続きには下記のようなものが必要です。
<自動車保険の運転者限定・年齢条件変更に必要なもの>
- クレジットカード、口座情報
- (保険証券)
運転者限定・年齢条件の変更で保険料が変わった場合、差額の精算が発生することがあるため、クレジットカードや口座情報が必要となります。また、多くの保険会社で、ウェブサイトでの手続きが可能です。代理店や電話で変更する場合は情報の確認のために保険証券が必要となる場合があります。
自動車保険の登録住所を変更する際に必要なもの
転勤に伴う引越しや単身赴任などで住んでいる場所が変更になった場合は、自動車保険加入時に登録した住所の変更手続きが必要です。
住所が変更になった場合は、新しい住所がわかる書類(住民票の写し、運転免許証など)によって手続きを行いましょう。引越しにより登録した電話番号が変更になった場合には、併せて新しい電話番号に変更します。
なお、引越しによって生活範囲が変わり、車の使用目的や走行距離が変わることがあります。使用目的が変わる場合や走行距離区分により保険料を算出しているダイレクト型自動車保険に加入している場合は、変更手続が必要です。
住所・電話番号・使用目的・走行距離区分の変更は、多くの保険会社がインターネット上の手続きに対応しています。
自動車保険の登録番号(ナンバープレート)を変更する際に必要なもの
現在と管轄が異なる都道府県・市町村に転居したり、ご当地ナンバープレート・希望ナンバープレートに変更したりした場合は、車の登録番号が変わることになります。
登録番号が変更になった場合には、運輸支局あるいは軽自動車検査協会で交付された新しい自動車検査証(車検証)を用意し、保険会社へすみやかに連絡しましょう。前述のとおり、登録番号は保険会社への通知義務があり、連絡を怠るとスムーズに保険金を受け取れなくなる可能性があります。
変更手続きは、インターネットや電話、保険代理店の窓口などで行うことができます。
自動車保険の見積もりをする際に必要なもの
自動車保険に新たに加入したり、他社に乗り換えたりする際に保険料を比較するには、見積もりを依頼することになるでしょう。保険会社に見積もりを依頼する際には、下記のものが必要です。
<自動車保険の見積もりに必要なもの>
- 運転免許証
- 自動車検査証(車検証)
- 現契約の保険証券
自動車保険の見積もり依頼は、各社のウェブサイトなどで上記書類の情報を入力すれば可能ですが、1社ずつ行うのは手間がかかります。複数の保険会社の見積もりを一度に比較したい場合には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」がおすすめです。
自動車保険に加入する際の流れ
自動車保険に新規加入する際には、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、自動車保険加入時の流れについて解説します。
1. 見積もりを取る
自動車保険は、保険会社によって保険料や補償内容が異なります。できる限り、複数の保険会社の見積もりを入手するようにしましょう。見積もりを取る際には「自動車保険一括見積もりサービス」を使うと便利です。
2. 比較・検討する
各社の見積もりをもとに、保険料や補償内容を比較します。代理店型自動車保険やダイレクト型自動車保険のメリット・デメリットを比べながら、検討するようにしてください。
3. 申込手続きをする
保険料や補償内容を比較して保険会社を決めたら、加入に必要なものを用意して保険代理店窓口やPC・スマートフォンなどで申込手続きを行います。
なお、自動車保険に新規加入する場合は、納車される日から補償が受けられるよう、納車の1週間前を目安に手続きを済ませておくと安心でしょう。
4. 保険料を支払う
申込手続き後、算出された保険料を支払います。クレジットカード払いや口座振替など、最適な方法を選択して保険料を一括払い(年払い)することになります。なお、保険料は分割払い(月払い)も可能ですが、支払方法が限られたり、支払総額が高くなったりするデメリットがあるので注意しましょう。
保険料の支払いが完了したら、手続き完了です。万が一事故に遭った場合には、あらかじめ定めておいた期日(保険始期日)から、自動車保険の補償が適用されるようになります。
自動車保険の比較・検討には、一括見積もりが便利
自動車保険の新規加入や変更、あるいは保険会社の乗り換えのタイミングでは、いくつか準備が必要な書類や、保険会社に確認される情報があるため、抜け漏れがないようにしておきたいところです。保険料や補償内容は、保険会社によって異なります。自動車保険の加入時には、比較のため複数の保険会社に見積もりを依頼してください。
ただし、それぞれの会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、相当の手間や時間がかかります。そこで、一括見積サービスを利用して、一気に見積もりを依頼しましょう。
自動車保険の保険料やサービス内容を複数の保険会社で比較・検討する際には、インズウェブの「自動車保険一括見積もりサービス」が便利です。複数社の見積もりが一度に取れるので、比較・検討がしやすくなります。ぜひ、「自動車保険一括見積もりサービス」をお試しください。